人の意識

果たして人の意識というものは、どんな状態に陥ったときに失われるのか?

気絶すれば当然意識はなくなる、痛みやショックで失神しても意識はないだろう。

ここで言いたいのは、脳死と判定されたり、それに近い状態で意識がないと判定された人たちには本当に意識がないのかということである。

 

例えば交通事故で緊急手術を受けたが意識が回復しない、そんなとき医師は意識の回復を待つために栄養を補給しながら患者の状態を診ていることしかできない。

家族の呼びかけにも応じず眠ったような状態のままで何か月もの時間が経過する。

その時間、その間、本当に患者はなにも聞こえず、なにも見えず、なにも解らないのだろうか?

 

時に認知症の患者に対して家族が名前を呼びかけたり、今まで通りにあれこれと話して接したりしていると、ふと意識が回復することがあるというようなことを見聞きする。

今回お話ししたいのはそれとはまるで異なるが、ふと意識が戻るという状態があるならば、意識がありながら伝えられないという状態もあるのではということだ。

 

私が思うのは、もし意識がないとされている患者に、周囲の物音が聞こえていて理解出来たり、目は動かせないが物が見えていたりしたならば、それは生きながらの地獄のような苦しみだろうということだ。

 

以前、私が今のように病気の後遺症で悩んだりすることのなかった頃に、なにかの本で読んだ記憶があるのだが、臨終ですと言われた患者が蘇生し、それまでのことをすべて覚えていたという一般の健常人には想像を絶するような内容だった。

そしてその実体験をこの私がすることになるなどとは、それこそ思いもしなかった。

「あとは本人の生命力と運です」

そう医師が言っているのを私が聞いている。

(そんなことはない、俺はまだ生きているぞ! 声も聞こえている、体は動かないがみんな見えている!)

そう心の中で叫びながら、お願いだから助けてくれ!

続けるのが少々辛くなりました。

思い出すだけでも大きなエネルギーが必要です。

今夜はこの辺りで。

おやすみなさい。